さわだなおきのちょっといい話(マイ・マミー篇)

「ロールパン」

小学校が休みのある日のこと。
ロールパンを食べようとひとくち噛んだら
ビニールのような、何とも言えない不吉な味がした。
「うえっ」と吐き出したら、マミーがひと言。
「食べなあかんで。」
「変な味するから食べられへん」と言うと
「食べなさい!!」
「いややぁ!」

「食べなさい!」
無理やり口にねじ込まれた腐ったロールパン
「うやぁー」と泣いていたら、
マミーは、そのパンを買ったスーパー「ユニード」に
お電話をかけた。
もしもし、あんたとこで買うたパン、腐ってたで。うちの子、それ食べて、おなか痛い言うて泣いてるわ。」

「ボーリング場」

小学校のころ、家族でボウリング場に出かけた時のこと。
自動販売機でビン入りのジュースを2本買い、栓を抜いて
両手に一本ずつ持って、家族の元に急いだ。
その時、突然つまずいて、すってんころりん。
危うしジュース!
しかしひざが擦りむけて血がにじんでも
一滴もこぼすことは無かった。
ジュースを持って泣きながらマミーの元へ。
きっと誉めてもらえるぞ。
しかしマミーはひと言。
「お前は、ほんまに意地汚いな!」

「チョコレート」

子どもの頃、ふとんに入り、なかなか眠りにつけないでいると、
マミーの声が。
「なおき、なおき!」
「何?」と返事をすると、
「おまえは、まだ起きてんのか!」

次の日、また。
「なおき、なおき!」
返事をしてはいけない。
「なおき、寝てるの?えらいなぁ。明日、チョコレート買うたげよか?」
「うん!」
「おまえは、まだ起きてんのか!」

その次の日。
「なおき、寝てるんか?えらいなぁ。明日、チョコレート買うたるわな。」
もうひっかかれへんぞ。
しかし次の日、チョコを買ってくれることは、なかった。

めでたしめでたし、か?

 

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